―過去―――暁の紫が、遥けき地平線を染める頃。まだ去らぬ夜闇に乗じ、陣を抜け出した。大人は先頭をゆく老齢の戦士がひとりだけ。体力の劣る子供たちを乗せた馬車を守り、数頭の馬がそれを囲む。殿を守り、ひたすら遠くへと馬を駆けさせる。