[男の失った右腕を見て同情を見せたり、顔を引きつらせたり、
珍しいものを見る目を寄越す人間は多い。
今でこそ落ち着いているが、荒れ始めた頃はその反応を見る度に、
誰彼構わず殴りかかっていたものだ。
アルビンはそういった反応もなく、辺に気を使われることも無いから
この軽いやり取りに男の心が荒れる事はなかった>>143]
別にお前さんの上客になんざなる気はねェさ。
そういうのは物の値段を知らない金持ち様に吹っかけろってな。
[ひっひ、と喉で笑う。
男も物の値段が分かる人間だとは言い難い。
しかしぼったくられるにしても光る石だとか、派手な服よりも、
酒に大枚をはたく方がよほど価値があると男は信じていた。]