[傾く世界に、転んでしまうと思いきつく目を瞑る。
来るはずの衝撃はなく、代わりに抱き留める腕の感触が伝い
おそるおそる目を開ければ間近に彼の顔がある。
その距離の近さと体温に早鐘のようになる鼓動。]
――…っ、ごめんなさい。
[咄嗟に謝り離れようとするけれど
抱きしめる手に力が籠れば>>145大人しくなり
僅かの間の後紡がれる問い掛け>>146に少女は小さく頷いた。]
……ん、大丈夫。
ありがとう、オズ。
[感謝の言葉を添え、名を紡げば、わう、と元気に返事をする愛犬。
掛けていた重みを己に戻し恥ずかしげな様子でそろと離れて
覗き込む琥珀色にやわらかな笑みを向ける。
好きだという気持ちは胸にあるのにまだ言葉には出来ず。
躊躇っていれば、愛犬がまた一鳴きしてリードを引いた。]