[捕虜交換の日取りが決まったのは、動けるようになった頃。思い出す。一度だけ、通信具を介してジークムントの声が聞こえた時のことを]生きてる、……か。[伝えられたのはたった一言だったが、ジークらしい、と感じて思わず笑ってしまったものだ]―――生きて。[同時に、どうしようもなく、願いをかきたてられた。マリエッタにも“生きて”いてほしい、と]