― 少し前・貨物室 ―
……………………………わかったよ。
[ 意見を求めるようでいて、
"青い髪の彼"を警戒するが故の
学者の威圧的な声音に何かを察したのか
カサンドラの強い視線が己のものとかち合う。
やがて、降参を示すように両手を挙げて見せて
ロー・シェンの方から先に視線を逸らした。 ]
君が誰を疑っているのかは聞かないでおこう。
……今は、まだ。
でもね、どうしたって
時間になれば誰か一人を指名しなきゃあいけないんだぜ
"気持ちはわかる"とか、言っている余裕はないんだ
怪しい誰かがいないかどうか、確り見ておき給えよ
[ それでも、事実を淡々と説明するのは止めない。
状況を把握しているだけでは覚悟は出来ない。
誰かを自分の疑念で冷凍睡眠させるかもしれない、
…そんな覚悟は、出来ない。
彼女は優しいと学者は思う。…けれど、甘い。
自分が生き残るためには誰かを犠牲にしなければ。
それは自然の摂理だし――此処でも変わらないことだ。 ]