[ ほどなく家令が、祝いの酒を持って出てきて、タイガと青年それぞれに、黒くて軽い盃を差し出した。] これも縁だ。 乾杯を受けてくれ。[ その後は、急いで邸内に戻ることになったから、話の続きをする暇はなかったけれど、感謝の気持ちのままに、盃を持ち帰ってくれと勧める。海の彼方の技術で作られた漆盃であった。] 記念すべき日の思い出に。 次に会う時があれば、是非、だからな。[ 青年自身の言葉を借りて破顔した。*]