― 城内廊下 ― おやおや、あの兄弟は随分と人を惹きつけてしまうのでしょうか。[1Fの沐浴場に集う多くの気配に、くつくつと喉を鳴らしながら歩く。それに相反して、僅かに瞳へ憂虞の色を滲ませ、ついと指先を振れば、淡い桃色をした水玉たちが、主よりも早くそちらへと動き出した。] すぐに死んでしまっては面白くないですから。[誰にともなく呟いて、水玉に導かれるように渦中の傍へと気配を殺し、近づいて行く。だからと言って姿を見せる訳ではなく、扉越しの廊下で、静かに行く末を見守っていた。]