[ 行き着いた先はゼファーの軍船を繋いだ港。海賊達との交戦は陸上で決着していたから、ほぼ無傷な船ばかりだ。 ]
荷を下ろした船は私が預かる。残りの船は、兼ねてからの指示通りに。
[ 最後までついてきた300人の留守番部隊の隊長には、カナンの指示通り、防衛に徹して動けと、言外に示して、自らは100名の精鋭たる重装歩兵を連れて船上へと身を置く。
やがては各隊から掻き集められた弓を得意とする兵も合流し、総勢は200名余りとなった。 ]
数を頼みとする軍は、必ず包囲戦か挟み撃ちを最善手として選んでくる。
相手には地の利がある、いついかなる場所から敵が現れるか分からないものと覚悟し、警戒を怠るな。
[ 一際高い船上から、男は麾下の兵に檄を飛ばす。 ]
奇襲は受けた側が動揺し混乱すればこそ効果を持つ。
ゼファーの勇士は恐れを知らぬ鋼の心を持つと敵に知らしめよ。
我ら、揺るがぬ鉄の壁たらん!*