― 王の間 ―
[わたしの独り言は上官の耳にも入って、肘で小突かれ窘められる。>>70]
…はっ、失礼しました。
[直ぐに詫びて口を閉ざす。しかし、一石投じた後の波紋は広がり、さざ波が幾重にも重なるように不満の声は高まっていく。
結局のところ、一度はわたしを窘めたアイリ様だって>>71、フェリクス王子ご本人だって>>81、決定は飲めないといった反論を出した]
(文書の真偽)
(それが真と結果が出れば、フェリクス王子は決定を飲むそうだけど)
(けれど、そんなに簡単に分かるものかしらね)
[疑心が一度芽生えてしまえば、自分が納得のいく結果が得られるまで、常に疑いは繰り返すもの。
幸いにして、王子二人の主張をはじめ、文書の検証を分担するやり取りまでを聞く限り、互いに譲らずの状態はしばらく続くだろうか]