…ん、ん。今日の依頼はソレ?
[ひとつ摘んで灯りにかざす。
魔法の触媒として用いられる白魔石の欠片>>61だ。
巷で買えば、なかなかお高い代物である。
術を篭めることの出来る触媒というのは、
そのもの自体の希少さもそうだが、扱いも難しい。
なにせ最小の発動状態で、術を場に固定するのだ。
弓の弦をぎりぎりまで引き絞った状態で、
いつでも発射できる最良の状態を保ち続けることが難しいのと同じ。
ちなみに魔女が持ち運びに愛用しているのは純香水という香水の一種である。
此れに己の血雫を垂らし、触媒に魔学反応を起こさせ呪を篭める。
他と比べれば扱いは容易の部類だが、使用は簡単な魔術に限るのが難点だ。
とはいえ――今までの平和なぬるま湯騎士団生活であれば、
それでも充分足りた]