― サロンへと向かう廊下 ―
[何が可笑しいと問われれば、彼の反応が。と答えるしかないのだが。
明かせば更に態度を硬化させるだけだと目に見えているから、もう一つの問いにだけ応う事にする>>101]
あら、聞きたいの?
――勿論、目の中に入れても痛くない、愛しい血子だと
思っていてよ?
[聖母の如く穏やかに湛えた微笑みは、三秒と持たず]
…本当、私の事が大嫌いよねぇ、貴方は。
[揶揄めいた底意地の悪い表情とは裏腹に、愉快そうに呟きながら、さっさと彼の先に立って歩く。
幾ら血の親を厭えど、結局の所、彼は自分に付き随わざるを得ないのだと知っている故]