...先に言っておくが、今回の事は、前と違って『無茶』ではないからな。
地脈の通じる場所も有り、それなりに用意もしている。
だから、心配せずに見ていてくれ。
[ やがてそんな念押しをして、男は露出した岩肌の上に立ち、穂先を下にして、龍牙を両手で胸の前に握る ]
おおおおっ!!
[ 迸るのは、すでにクラリッサも幾度か耳にした筈の咆哮の如き声。
同時、男が真っすぐ突き下ろした龍の牙が、まるで土の地面に刺さるかのように易々と、岩肌を貫き通す]
[ ボコリ、と、音を立てて、貫かれた岩肌から沸き出したのは、白熱の輝きを纏う溶岩流。
触れた空気をもうもうとした蒸気に変えながら、溶岩流は龍牙の柄をまるで蛇のようにするすると螺旋を描いて昇っていく。やがて白熱の光は、槍持つオズワルドの腕に届き、その腕を焼く、かと思われたが、そうはならず、腕に触れると同時に、その表皮に吸収されるかのように消えて行った ]