[手を、伸ばす。 記憶の頁がたどり着いた先、 「フィオン」と最後に呼ばれたときと同じように。 今度は自分が、カークの立場で 謝り続ける彼の頭を、撫でるために。 上手くできたか、わからない。 手はもう冷えて、感覚もない。「泣くな」とかつての彼のように口にすることも 出来なかったから。 ただ、思って―― そうして、手を、下ろした**]