だけどなヨアヒム。リーザはあの時、俺に言ったんだ。『これでヨア君が死んじゃったとしても、パパとママと一緒だから、寂しくないよね。 ―――ヨア君、喜んでくれるよね?』[自分の正義を疑わない眼で、彼女は言った。]…リーザは自分が狂っているなんて思っていなかっただろう。自分が狂っているかどうかなんて、自分じゃ誰にも分からない。俺だってそうだ。それを言うなら、気付いていなかっただけで。俺はとっくに狂っていたのかもしれない。[10年前から、ずっと。]