[ 男が、一人で動こうとするのは、己の顔が、帝国側に、既に知られているから、という理由からだった。
恐らく、ロンリコが陥落したことで、魔法使い達の拠点を全て殲滅したと皇帝は考えているだろう。あとは、ばらばらに逃げた残党を狩るだけだ、と。
そして、その残党狩りの先頭を切るのは間違いなくあの死神だ。
デメララへの奇襲は、確かに、この現状からの最良手と思えたが、それはあくまで「奇襲」が成功した時の事。帝国が、生き残った魔法使い達がまとまって動いていることに気付いて警戒を強めれば、成功の確率は著しく下がる。 ]
(俺一人なら、万一見つかっても...)
[ 最後まで学園に止まった男が、デメララに囚われているかもしれない学生達を探しに行ったのだと、思わせることができたなら、まだ、魔法使い達はバラバラのままなのだと、考えさせることができるかもしれない。
無論、その時には、死神と命のやり取りをするか、帝国軍の超人兵達相手にひと暴れしなければならないだろうけれど。** ]