― 回想 ―
[こちらの動揺も、葛藤も、まるで伝わっていないかのように、師匠は平然としていた>>120。
淡々とした口調は常と同じ、歴史や逸話、教訓を語るような。
かつてならきっと目を輝かせ聞いていた言葉も、今はひたすら責められているようにしか感じられなかったけれど]
[一度その場を離れようとする自身に、里帰りという行き先が告げられる>>121。
それは今となっては敵対する土地であり、師匠の真意に反して、彼は平然と敵対することを選ぶのだと、思い知らされたような気分だった。
その掛け違いを抱えたまま、自身は決して会いに行くことの出来ない立場となって――]