リーーーッ!!
[ なぜ?と、言葉には出来ず、ただ血を吐くように名を呼んだ、その声に、娘は一瞬、ぴくりと反応したようにも見えた ]
『皇子!ダメです!!』
[ 衝動のまま、兄と娘の方へ駆け寄ろうとした男を、近衛隊長が全身をぶつけるようにして止めた。
皇太子の傍近くに仕える近衛の護衛官達は、大半が男の真の素性を承知していて、それでも普段は同僚として扱ってくれていたのだが、皇太子が命を散らした、この瞬間から、その仮初めの扱いもまた、終わりを告げたのだ ]
『砦まで、急ぎ撤退を...貴方まで失うわけには...っ!!』
[ 男を庇いながら、死体を増やそうと襲いかかってくるゴーレムやコボルトに立ち向かっていた近衛隊長は、皆まで口にする事無く、その頭をゴーレムの一撃に砕かれた ]