[ただ、そうやって便宜を図ってもらったシェットラントは
最初の頃は、この部屋を訪れようとしなかった>>59。
…当然だろう。
しかし時は流れ―――
痛みは引き伸ばされて次第に咀嚼可能な厚さになる。
良くも悪くも、それが記憶の理だ]
ねぇえ。余っている試作の魔術の道具、
邪魔だから貰っていってくれなぁい?
[ある日のこと。
誘い掛け>>60に乗ってシェットラントはやってきた。
躊躇うような表情を誤魔化すためか、甘い匂いの焼き菓子を持参して。
魔女はゆると笑った。
そして美味しい焼き菓子に目を奪われた振りをした]