―ネロリの花咲く丘で―
[ 世に巡る正の喜びこそ、天使の糧となる。
人の心は闇にも移ろいやすいが、
欲望を拒み光を掴んだ魂を天使は気に入っていた。
この街の人間は取り分けそういった気質が多く、
天使も気付けば教えを請われれば面倒を見ていた。
うつくしいものは、このましい。
美しいものを天使は愛していた。
人の子を裁く手で悪だと弾くその手で
蒼眼の天使は祝福を与えていた。
その行為が神の指令であり、
神の意志であり、正しきものだと
生まれてこの方、疑うことを知らぬまま。
闇さえ恐れぬのは盲目的な神への愛のため
神にさえ愛されていれば天使は幸福であった。 ]