― 市街地 ―[命じたとおりに警戒を続ける者達に声をかけ、その間を通り抜ける。警戒網の中心に伏す者に近づきながら、男は表情を変えぬまま歌うように言葉を紡ぐ。言葉は血のように赤黒く染まり、男の唇から右手の備える手甲へと。赤黒は銀を通じて色を失い、それに変わるように男の周りを光が包む。その間、伏したままの者は身動きをとることもせず……いや、息をするのがやっとという様は、身動きを取ることもできないようだといった方が正しい状態だった。]