──夜の庭──[さんざめく木々に紛らすは『御伽噺』。現実の壁に遮られる不自由さの中でも、架空という名の翼を与えられた真は放たれる。]───違う ってのに、礼は言っとく。それだけは、ひとりにつけられた札でもなかったからな。[語ったうちのどれよりも短いそれだけは、連なる血に与えられた言葉に近く、ひとりを指してのものではなくて──それゆえ長く続けることを好めずに短く終えられた断片。]