― 後日・ペンホールズ >>147 ―
「ケット・シー……そうか、妖精さんなんだ」
[ケット・シーの自己紹介は、彼女の内にすとん、と落ちる。
……まあ、幼少の砌、飛竜の子供相手にも物怖じしなかった、という前歴のある娘さんである。猫が喋るくらいでは動じないのも不思議はないかも知れなかった。
もふもふふわふわ。その感触に、日々の疲れが癒されていくのを感じていた所に言われた言葉。
え、と短く声が上がった]
「……にいさま……が」
[ラクシュの主。それが誰を意味するのかは、すぐにわかる。
わかるから、言葉にできない想いが溢れかえってきて。
頬をふみふみする感触に癒されつつ、ケット・シーをぎゅう、と抱きしめた。
馬が喋れないのはわかっているが、兄とは言葉を超えた何かで繋がってもいた黒馬だから、とそこは全く気にかけず]