― 修道院北側 ―
[急ごしらえの浮橋とはいえ、渡河には威力を発揮した。
人間なら二列で、馬ならば一頭ずつ通れる程度の橋でも泳ぐよりは早い。
大盾隊が渡り終えて南岸で並びなおし投槍隊が渡り始めたところで、偵察隊が戻るのと相前後して正規兵の一団が姿を現した。>>88]
来たか。
早かったな。
[最初からこちらを警戒していたか。
あるいは拠点にしているらしき修道院を防衛する部隊だったのか。
渡河を援護するべく、北岸の弓隊が灌木や叢を盾にしてしゃがんで射撃する体勢を取る。
偵察隊もまた本来の所属である弓隊へ合流した。]