でも、見ているだけは面白くないし、
こちらも全力出し切らねば、ひとかけらも魔王に届きはせぬのじゃ。
目覚めよ。吾らの同胞よ。
時は来たれり。その手を伸ばせ。
吾は歌い言祝がん。長きを耐えた者達よ。
今や大地は汝らのもの。増えよ満ちよ咲き誇れ。
[声に応えたのは、土の下で眠り続けていた者たちだった。
土に埋もれ、芽吹きの時を待っていた種たちが一斉に葉を広げ、茎を伸ばし、花を咲かせる。
不意に現れた花畑はさらに伸び、密に絡み合って壁を作り始めた。
魔王と勇者を囲むように立ち上がった壁は、攻撃も出入りも阻害しようとする。]