……全く同じ装丁で同じ副題を持ってるけど、年代と作者が違う。これだけの蔵書を揃えた人が、それを知らないとは思えないけど……。[呟くと同時、後ろでガタンと音がした。素早く振り向くと、ただの壁にしか見えなかった場所に物入れのような空洞が出来ていた。近づいてみると、紫の繻子が敷かれ、中央にくぼみがある。すでに誰かが何かを持ち去った後か。それとも、何かを探してきて、ここに置けということか]そんなに大きいものじゃない……持ち運べそうだ。でもある程度重みがあって……そして貴重な物みたいだ。