[覚悟していた痛みは訪れなかった。>>149
人狼への殺意を語るヨアヒムを見たのは初めてではない。
その度に胸に苦い痛みが走り、無力さに嘆いた。]
(お前も、あのリーザを見たのか…)
[少しだけ哀しかった。
ヨアヒムには、優しく笑っていたあの子の顔だけを、覚えていてほしかった。
目を伏せると、脳裏に浮かぶのは狂気に満ちた笑み。
いつしか写真を見返さないと、元のあの子がどんなふうに笑っていたのか、思い出せなくなっていた。]
お前が信じるかどうかは分からないが。
俺は人狼ではないよ。
…狂人であるつもりもない。
[そこまで言いきると、一度ヨアヒムの様子を伺って。]