―回想:非常事態前 花屋店前―
[緊急事態に陥る前のこと。
カレルと別れ、店にへと帰っている途中、店の前に二人の女性がいるのを視界に収める。
その内一人には、見覚えがあり、タイミングさえ会えば、挨拶と世間話をするくらいの間柄だったか。
この船のメカニックの女性>>0;89 であり、自分と同じくらい長い期間船に乗っていることで、勝手に親近感を感じていたせいかもしれない。
相手がどう感じているのかは知らないままで。]
アリーセ?
あら、もしかして、買いに来てくれたの?
[親しいだなんて口が裂けても言えない関係だったが、クリーム色の兎を肩に乗せた金色の髪はよく目を惹き。
いつものように、ついつい話しかけてしまうのだったが、彼女の返答は果たしてあったのだったか。
店に来てくれるなんて、青天の霹靂で……少し弾んだ声をだしてしまったことには気付かれてしまっただろう。
その手に握られたピンク色の薔薇>>90を視界にいれれば尚のこと。
まさか、自分が軍籍を置いていることで、苦手意識を持たれているとは思ってもいない。>>0:311
そういった踏み込んだ話はないままで、ずるずると年数だけを重ねてきたような間柄であった。
へらりと笑うその笑顔>>65 の下を覗き見ようとしないことが、関係を続けるルールだと思い込んだままで。*]