……タチアナの……家族、を……?
[僕が、タチアナの家族を喰らったと、目の前にいるタチアナの孫は言っている。
そう認識してしまったら、正常な思考は働かずに。笑っているのか、泣いているのか、自分自身も理解できない。
その場に留まることさえも、脳が、酷く、拒絶して、しばらく、何の音も拾いたくないと――…
もう少し話を続けていたのなら、あっさり解けたであろう大きな誤解をそのままに、逃げるように書庫を後にした。
できれば誰とも話をしたくないと、男が逃げ込んだのは、館の外の森の奥。夜が明けてしまえば来れる者はいないだろうと考えて**]