[ベリアンを一度見逃したことは、眼前の彼には言っていない。否。言えなかった…というのが正しい。ベリアンとの邂逅の後――…、その頃には既に騎士団に戻っていたシェットラントの元へ魔女はふらりと赴いて、騎士団所属への口添えを頼んだ。 …キアラが願っていた未来。 其れを継ぐかのように。魔術を幾つか見せ、少々派手に魔物を倒してみせると妙な奴だが力は使えるというイイ評価をもらえた。騎士団は、団長の息子の片割れがそもそも放蕩人なのでいろいろな面で懐が広かったのも幸いした]