リヒャルト、あのね[黒光から視線を逸らさず、平坦な語調が途中で途切れては、また中途半端に口を開いたまま、] ………何でもない。[言うのを、やめる。ここ最近になってままある事だ。こうなる以前は酷く従順で聞き分けの良い隷魔であった自覚はある。それより前は……何だったか。何も言及される事がなければ、そのまま膝を抱えてアチコー村の近辺まで木目を眺めているだろう。]