誰かー、誰かいねーのか?
[少年はただひたすら前に進んでいた。
役場とか図書館とかお屋敷とかの、目印になりそうな建物はなく。
既に最初にいた、お菓子の木々が茂る場所にも帰れなくなってる気がする。
道を示してくれそうな人も見当たらず、ただ、ひとり。
それでも――いつだったか、誰かと二人で樹海に分け入った時のような心細さを感じないのは、
周囲の景色が甘い、夢に彩られているからか]
すっげーな、この、……雪?
食べても食べてもなくなる気がしねー。
[しゃがんで、ふわふわの雪原を形作るお菓子に目を落として、それから、
>>127少年の名を呼ぶ声に、顔を勢いよく上げた]