[血の巡らぬ脳裏で思考を重ねる。
――死ぬ心算だったわけでは、なかったのか。
瞼を伏せ、千切れて痺れた舌を彼の舌へと絡ませていき。
今はその血を奪うことなく、彼に血を与えていった。
溢れる血潮を一心不乱に飲み干す喉の音と
出血過多で逸る男の動悸が重なり、酷く心地良く。
ぐらり、男の身が一瞬、揺らいだ。
レトが噛み締めていた舌が口腔で裂け、互いの唇は離れゆき。
吐瀉でもしたかのように、口許から鮮血が溢れ、それを嚥下した。
揺らいだ身は樹の幹へ、背を委ねる形。
胸元へ引き寄せるよう、彼の身は抱いたまま離さずに居て*]