― サクソー川:橋の北西付近 ―
[自然と口を衝いて出た敵将への賞賛に同じものが返されて、翠色の双眸は僅かに瞠目する。
戦闘中の短い応酬とはいえ、その一瞬だけは綻ぶように口元に笑みを刷く。]
…っ、 は、は。
……あなたにそんな風に言われるなんて、光栄だな。
[風に攫われてしまったけれども、本心からの言葉だ。
もしこれが互いの命奪い合う戦場でなければ、
きっとどんなにか楽しい時間であったろう。
男として、憧れていたのだ、そのしなやかな剣と佇まいに。
…否、今となっては詮無きこと。]