― 公国拠点・作戦会議室 ―
[上位の士官たちが集まる会議に出席すれば、いくつもの疑いの視線を向けられる。
つい先日まで、帝国軍前線司令官の近くにいたのだ。
二重スパイかもしれないと疑われるくらいのことは当然と、それらの視線を気に留めることはしない。
そしてこの場では、誰かから求められない限り、意見や提案の類を出す気もない。
疑われている自分が何を言っても無駄――それどころか、下手をすれば逆効果になりかねない――とわかりきっているから。
だから、求めがない限り。着崩した軍服姿で腕組みをしたまま、黙って話を聞いているつもりでいる]