[第二閲覧室を出れば嫌でも向けられる、多くの好奇の眼差し。いくら休憩時間ではないとは言え廊下に誰もいない時間など殆ど無いだろう。さらに、翻訳は出来れど自身の思考の言語化が苦手で思うようにいかず、ままならない状態に苛立ちが募る。]
ウチ、見せもんじゃないんだけどっ!
あーもー!なんで、うまくいかないの…
ウチのばか、やくたたず
[周囲に向かって一喝すればさらに歩調を速め、出るときに宣言したパティオではなく星の夢へと辿り着く。近くの木の元に座り込めばオズワルドに貰った煙草に火をつけて大きく息を吸い込み、ゆっくりと白煙を吐き出す。]
デリー…ウチ、どうしたらいーのかなぁ
って、頑張るしかないんだけどねー
でも…
やっぱりずっと一緒にいた人に裏切られるのってきっついね
[同じ翻訳家として、頼れる先輩として、共に苦楽を共にした彼と対立することが思いのほか精神を擦り減らせてゆく。]