― 宿屋 ―[随分と久し振りに宿屋へ足を踏み入れる。パン配達の為に、時折自分が来る時もあるけれども。昔の様な入り浸りは、今ではとんと] うぅ……つめた…… あにぃ、壁役ご苦労…[家屋の壁伝いに向かう道中。片側は建物の壁。そしてもう片側は兄の壁で、極力雪風を遮る様な陣形で宿屋まで赴いてきた。あぁ、みにぺた君も雪をかぶってる。ぱたぱたと叩こうとした頃。漸く、玄関に踏み入れた、久々の宿屋が、余り良くない意味で、様子が違う事に気づいた]