― 天獄の泉:衣裳部屋 ―
[さて、回廊をゆっくりと廻り。
最中で遠くに見た睦まじい紅白>>126>>137へ、戯れに手を振った後で辿り着いた場所は、三界の絹と装飾が納められる場所。自らの愛玩天使を着飾らせ、愛でる趣味を持つ魔族も少なくない。
男の来訪に合わせて、左右に拓く扉の向こうは、財を凝らした煌びやか。
背の高いクローゼットに、積まれた宝石箱。
天井から幾重も下がる絹地は、月色、星色、夜色と、取り取り。]
天に背いたと云うのに、
何時までも彼方の装いに身を包むのも可笑しな話だ。
君は何が似合うか―――、少し、考えるとしよう。
[トン、と彼の背を軽く押しやり、数歩の蹈鞴を促した。
彼が正面に迎えるのは、天まで聳える巨大な三面鏡。
あらゆる角度から、穢れてしまった彼を映す。]