[橋の上では力の強いものが小物を突き落として前に進み、川では溺れた仲間の身体を踏みしだいて我先に渡ろうとする。相当数が流されていったが、徐々に徐々に対岸へ到達するものが増えていく。南の戦場へたどり着き、人間との戦闘に加わるものはまだいい。中には魔軍同士の小競り合いで武器を振るうものもいた。混沌たる有様ながら全体としては南へ向かおうとし、途中に現れた人間を殺戮すべく動いている。そして、魔王はその戦況に、さしたる興味を向けていなかった。]