[双子がソールとサーラという名と、身分を名乗れば、
彼も名乗ってくれたのだったか。
或いは、違うかもしれないけれど、
彼の身内のようにも見えた気のする周囲の誰かが、
教えてくれたのだったか。
彼を気に入った双子は、ローの迷惑も顧みず、後をくっついて、
『ロー、ロウ、あれは何?』、
『ロー、あそこでは何をしているんだい?』と、
興味津々で、色々尋ねたり、足場の悪い遺跡で転びかけては、
彼に助けて貰ってばかりいた気がする。
礼儀正しかった“あなた”は、
ローの名を教えられたとおりに呼んでいたけれど。
“わたし”は、勝手にル・ウルタール風の呼びやすい発音で、
“ロウ”と呼びながら。]