……。
[堂々たる体躯。
目に鮮やかな、燃えるような緋色の髪。
明らかに作り物などでは表せない、立派な質感の双角。
どう見ても、人ならざる者であるその人は、しかし先に言葉を交わした雪の御仁よりも、あるいはあの青年を招いた蓮の花持つ人よりも、そして今現在、傍におられる方よりも。
ずっと、現実味を帯びて感じられるのは、何故だろうか。
注がれる、金色に似た色の眼差しを見上げて、男は問う。]
…私を“呼び出した”のは、貴方でしょうか。
[人ならざる者を前にしても気圧されることのない、銀に近い蒼が、まっすぐにその瞳を見返した。*]