[青年は公国の軍士官、ステファン・フォン・トライブクラフト少尉。
病室を訪れているのは彼の両親。
すなわち、公国の外務大臣であるトライブクラフト伯爵と、その夫人]
『……彼らの狙いは、私だったのに』
[息子を慈しむ父の表情の下から、抑えきれなくなった沈痛の面持ちが現れる]
『なぜ、おまえがこんな目に……』
[数日前に起こった、外務大臣を狙った暗殺未遂事件。
幸いにして、トライブクラフト伯は軽傷を負うにとどまった。
馬車に同乗していて事件に巻き込まれた、ベルンシュタイン侯爵の子息も軽傷。
しかし、父である伯爵を庇った三男・ステファンは深手を負い――未だ意識が戻らない]