[先程も、此方のことまで何か案じている様子は、色々と。>>103>>105
医務室から手馴れた様子で物を取り出す自分に向けられた少しばかり不穏な表情の方は、身に覚えがあった分、そちらの方に意識が向いてしまい、]
前にかっぱらったりはしてねえよ。
……やろうとしたけど。
[咄嗟に言い訳のように呟いて、きまりの悪い顔でもしたのだったか。
それが聞こえていたかどうかは、分からないけれど。
そのような彼に対して、一つだけ、先程のメイン・サロンでの一幕で、余りの事態の連続で置きっぱなしになってはいたのだけれど、言ってやりたいことがあったのを思い出しながら。
それでも、いまはそれを直ぐには口には出さずに――… あるいは、出せずに。]