[やがて、玉座の前に皇子が運ばれてきた。
黒い楔を打ち込まれた体は、予想に反してまだ死んではいないようだった。>>39
肌に触れれば冷たく、息も感じられない。けれど命が尽きていないこともわかる。
陽光の気配濃い色彩は、死の沈黙の中でも鮮やかに目に映った。]
これとあれ、人形をふたつ並べたら愉快であろうなあ。
しかしツィーアの核を分けるわけにもいかぬし。
やはりシメオンの業を待つべきか。
[矯めつ眇めつ眺めてから、やはり召し上げようという思考を中断する。
代わりに、しばらく玉座の隣に飾っておくことにした。]