……遅かったなぁ。[兎から伝わるのは確かに天の気配、だが]この子の中にはもう居てへん…他の子ぉに移ってしもてる。[抱き上げている今も徐々に薄れていく気配の残滓は、程なく兎の中から消えてしまうだろう。食んでいた付近の草に残る跡をみるに、鹿か何かに移ったのだろう。少なくとも兎と比べて体躯の大きい獣なことは間違いなく、移動の速さも行ける範囲も一気に広がってしまったとは分かる。せめてどちらに向かったか位は掴もうと、先と同じく気を集中させたのだが]