[兄が両目に傷を負った年のこと
塞ぎ込み、よく教会に通って一人祈っていた。
兄と仲の良いディーター
少し変わった友達のお兄さん。
彼は無鉄砲にも兄の為に村を飛び出してくれたのに。
わたしは、自分が出来ることが見つけられなくて
……悔やんでも、悔やみきれなくて。
一つの結論を見つけられた後
髪を切り、最初に訪れたのは宿屋だった。
そして彼女に頼み込んだのだ。──料理を教えてほしい、と
母はチーズ作りは上手くても料理がワンパターンだから。
なんてものは建前で、兄に視界に頼らない楽しみを与えたかったのが理由。
少しでも、彼の為に出来ることを積み重ねようとした第一歩。
それは大人のレディーであるレジーナさんには分かっていたのかもしれない。]