素直で助かるわ。焼けた人は臭くて敵わんからな
[あれはいけない。美味そうな匂いと言って食う魔族も居るだろうけれど、自分には理解が出来なかった。
こちらの背には漆黒の翼。あちらの背には綺麗な水色の翼。まずは土で汚し、徐々に徐々に、黒に穢していくのが楽しみでしょうがなかった。
きっと、自分とは対象に天使とは気高く高貴な存在なのだろう。プライドなんてクソ喰らえと生き、高貴とは無縁な龍人族としては未だ折れない彼女の心が羨ましかった。
羨ましいからこそ、もっと折りたくなる。この場で、彼女の心を切り裂きたくなる。]
おぉ、こわっ…
怖くて怖くて震えてまうわ、あぁ落ちそうじゃな?
[ふるふる、と震え上がる振りをすれば新郎新婦が揺さぶられ落ちてしまいそうになる。大事な人質が、今ここで落ちたら彼女は自分を殺しに来るだろうか。その上で屈服させるのも悪くない。
亭主関白、という言葉があるように。まずは自分より下だと教え込むのも立派な一歩だろう、とか考えるのは少し早計だろうか。]