[その言葉は、"彼"ではなくて"シメオン"に……いや、それは"彼"なのだろうか。]記憶は、音を鳴らすと、蘇るんですよ?[ギターを鳴らし、もう一歩。優しい音色に、別れを告げたとは知らず、ニコリと笑って指を動かす。そうすれば、"忘れっぽいな、お前"と、ポロリと零れる言葉。それに彼自身、驚いたような、困ったようにくしゃりと笑う。]シメオン……[そう"二人"を呼んだ。視線が合ったと思ったときには、通路の入り口まで跳躍し……。一瞬で姿が見えなくなる。]