[陶磁のように色と体温を無くしたレトの肌が
まるで新たな血が通うかの如く色味を取り戻し始め。
じくじくとした鈍い痛みが舌から脳へと痺れる中
黒い縁取りの奥で瞬く緋色に気づき、切なげに双眸を細めた。
――もう、大丈夫だろう。
安堵に微か身を弛緩させたその瞬間、修復しようとする舌先へ
更なる追撃が走り、突き刺すようなその痛みに微か、
睫毛を震わせる。
伝う響き、レトの声。
血を寄越せと、生命を寄越せとそう主張する声は
生きることを欲しているように感じられた。
緩く回した腕で、彼の身を強く抱き締める。]