人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[陶磁のように色と体温を無くしたレトの肌が
まるで新たな血が通うかの如く色味を取り戻し始め。

じくじくとした鈍い痛みが舌から脳へと痺れる中
黒い縁取りの奥で瞬く緋色に気づき、切なげに双眸を細めた。

 ――もう、大丈夫だろう。

安堵に微か身を弛緩させたその瞬間、修復しようとする舌先へ
更なる追撃が走り、突き刺すようなその痛みに微か、
睫毛を震わせる。

伝う響き、レトの声。
血を寄越せと、生命を寄越せとそう主張する声は
生きることを欲しているように感じられた。
緩く回した腕で、彼の身を強く抱き締める。]

(146) 2013/10/11(Fri) 02:04:48 (presage)

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