[クロード・ジェフロイ。
自分より少し年下の、ベルサリス学館館長の息子。
>>4講義が終わっても教室に残り、感想や議論を交わす姿は今でも思い出せる。
国の未来について語る若き学生。――不穏分子、というよりはそう捉えていた。
女は積極的にそれに加わる事はなかった。
時折手を止めて耳を傾けている事はあったが。
尊敬する上司でもあった夫を病で亡くして一年。
実家に帰って嘆き悲しむだけの己を叱咤し、国を守る為にこの身を捧げる事を誓い、見識を深める為に門戸を叩いた。
今まで騎士団と王都しか知らなかった女にとって、学館で知った外つ国の文化水準の高さは驚かされるもので、
在学期間を終えて騎士団に戻ればすぐに国を守る為の防備を固めねばと思った。
勿論あの時には、結界を越えて使者がやって来るなどとは想像もしていなかったけれど。]