[周囲から投げかけられる質問に、男は悄然とした様子で踵を返し、医務室を出ていく。>>142
人狼の破壊衝動の強さと彼の身体能力が併せられた場合想定される状況は、聞かされた資料室の様子とはそぐわないようにも思える。
――が、その衝動の出方には個人差もある、のだろうか?
そんな折、横合いから聞こえた言葉に、ふと]
人狼に利用された人間の可能性――…>>141
メリーへのアクセス権限、か。>>140
[機械の身体、13年の年月。
仮に、ハダリーが人狼である可能性が常人より低いということが想定されるなら。
ハッキングの腕のある人狼が、アクセス『権限』のある彼を利用し、メリーへの攻撃を試みた可能性は?
率直に言って、状況的にもっとも怪しいのはハダリーには違いない。
けれども、サシャが人間であり、確実に人狼が存在しているであろうこの船内で、一度『判定』を間違えてしまえば、更なる危険が訪れるであろういま。
――… 考えるべき可能性は、他にもあるな、と。
再び閉ざされた医務室の扉を、見遣った。]